結論から書きます。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など高齢者施設への訪問薬剤管理指導の点数は、同じ建物に住む人のうち、自局が訪問薬剤管理指導を行っている人数(単一建物診療患者・単一建物居住者)で決まります。 入居者全員の人数ではなく、自局が対応している人数だけを数えます。ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)には特例があります。

この記事は、調剤報酬点数表の在宅患者訪問薬剤管理指導料(区分15)の通知にもとづいています。要介護認定の有無による医療保険・介護保険の使い分けの詳細は「居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導の違い」で扱っているため、この記事では建物・人数の数え方に絞って整理します。


1. 単一建物診療患者・単一建物居住者の定義

通知は、単一建物診療患者の人数を次のように定義しています。

「当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導料を算定する者の人数をいう」

医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料では「単一建物診療患者」、介護保険の居宅療養管理指導費では「単一建物居住者」と呼び方は違いますが、考え方は同じです。数えるのは入居者の総数ではなく、自局が訪問薬剤管理指導を実施している人数です。同じ施設に複数の薬局が出入りしている場合、他の薬局が対応している入居者は自局の人数に含めません。

数え方の具体例

状況自局の単一建物診療患者の人数
入居者50人の施設で、自局が5人に訪問薬剤管理指導を行っている5人
同じ施設で、自局は5人、他の薬局が別の3人に対応している5人(他局の対応分は数えない)
入居者2人だけの小規模な住宅型施設で、自局が両方に対応している2人

施設の規模や入居者総数は点数に影響しません。自局が実際に訪問薬剤管理指導を行っている人数だけが、650点・320点・290点のどの区分になるかを決めます。訪問する施設が増えるほど、同じ施設内で自局が対応する人数も増えやすいため、新しく施設への訪問を始めるときは、その時点で自局が何人に対応することになるかを先に確認してください。


2. 人数ごとの点数(在宅患者訪問薬剤管理指導料)

単一建物診療患者の人数点数
1人の場合650点
2人以上9人以下の場合320点
それ以外(10人以上)の場合290点

同一世帯に複数の患者がいる場合は、患者ごとに「1人の場合」として算定します。介護保険の居宅療養管理指導費の単位数は「居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導の違い」の表で確認してください。


3. 施設の種類ごとの扱い

施設の種類人数の数え方
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・軽費老人ホームなど建物全体で、自局が対応している入居者数を数える通常のルール
特別養護老人ホーム等(要介護認定のある入居者)介護保険の居宅療養管理指導費で算定。建物内の人数の数え方は同じ
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)でユニット数が3以下の施設特例:各ユニットで訪問薬剤管理指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる

グループホームの特例は、ユニットごとに少人数で運営されているという実態に合わせたものです。1つの建物に複数のユニットがあっても、ユニットが3以下であれば、建物全体ではなくユニット単位で人数を数えられます。4ユニット以上の施設には、この特例は適用されません。


4. 訪問前に確認する手順

  1. 入居者の介護認定の有無を確かめる:医療保険と介護保険のどちらで算定するかが決まります
  2. 自局が対応する人数を数える:建物全体の入居者数ではなく、自局が訪問薬剤管理指導を実施する人数を数えます
  3. グループホームはユニット数を確認する:3以下であれば特例が使えるか検討します
  4. 薬学的管理指導計画を策定する:訪問前に計画を作り、少なくとも月1回見直します
  5. 訪問のたびに記録し、医師に文書で報告する:薬剤服用歴等への記載と、医師への訪問結果の報告を行います

5. 落とし穴

  • 建物の入居者全員を単一建物診療患者の人数に数えていた:数えるのは自局が対応している人数だけです
  • グループホームの特例を4ユニット以上の施設にも適用していた:ユニット数3以下の施設に限られます
  • 要介護認定の有無を確かめずに医療保険で算定していた:認定があれば原則として介護保険が優先されます
  • 訪問結果を医師に文書で報告していなかった:算定要件の一部です

6. まとめ

  • 単一建物診療患者・単一建物居住者の人数は、建物の入居者総数ではなく、自局が訪問薬剤管理指導を実施している人数で数える
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、1人650点、2〜9人320点、それ以外290点
  • ユニット数3以下の認知症対応型共同生活介護には、ユニット単位で人数を数えられる特例がある
  • 施設の入居者も、要介護認定の有無で医療保険と介護保険のどちらになるかが変わる

医療保険と介護保険の使い分けの詳細、単位数と算定回数の上限は「居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導の違い」、在宅訪問の立ち上げ方は「薬局の在宅訪問の始め方」で整理しています。

参考資料