結論から書きます。令和8年度改定で、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算は1本にまとまり、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」になりました。点数は大きく上がり(調剤基本料1の薬局の加算3は40点→67点)、その代わりに医薬品の安定供給の体制と後発医薬品の調剤割合85%以上が、すべての区分に共通の土台になりました。上位の区分を狙う薬局は、処方箋1万回あたりの実績9項目を、自局の数字で先に数えることから始めてください。

この記事は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)、告示の調剤報酬点数表、「保険調剤の理解のために(令和8年度)」、関東信越厚生局の届出様式(様式87の3の1・87の3の2)にもとづいています。調剤基本料の区分そのものは調剤基本料の区分の見分け方で整理しています。


1. 何が変わったか

改定前は、地域医療への貢献を評価する「地域支援体制加算1〜4」と、後発医薬品の使用割合を評価する「後発医薬品調剤体制加算1〜3」が別々にありました。令和8年度改定で後発医薬品調剤体制加算は削除され、後発医薬品の使用割合は新しい加算の基礎の要件になりました。

区分対象の薬局改定前(相当する加算)改定後
加算1医薬品の安定供給の要件を満たす薬局(新設)27点
加算2調剤基本料1の薬局地域支援体制加算1:32点59点
加算3調剤基本料1の薬局地域支援体制加算2:40点67点
加算4調剤基本料1以外の薬局地域支援体制加算3:10点37点
加算5調剤基本料1以外の薬局地域支援体制加算4:32点59点

加算2〜5は、加算1の要件(医薬品の安定供給に関する要件)に、従来の地域支援体制加算の要件(地域医療への貢献に関する要件)を上乗せした形です。改定前に後発医薬品調剤体制加算を別に取っていた薬局は、合計の点数で比べる必要があります。

特別調剤基本料Aの薬局は所定点数の100分の10で算定し、特別調剤基本料Bの薬局は算定できません。

2. 加算1(すべての区分に共通)の要件

加算1の要件は、加算1〜5のすべてに共通です。届出の添付書類(様式87の3の1)では、次の項目を確かめます。

項目内容
医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理を行っている
他の保険薬局に医薬品を分譲した実績がある(同一グループは含めない)
供給不安等で調剤できない場合に、在庫のある薬局を探して案内する、処方医に処方変更の可否を照会するなど適切に対応している
原則として単品単価交渉をしている(様式85「妥結率等に係る報告書」を提出している)
適正な在庫を確保し、頻回配送や緊急配送を控える
在庫調整等を目的とした返品を控える
後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を掲示している
後発医薬品の調剤割合が85%以上である(直近3か月の実績)

改定の概要ではこのほか、重要供給確保医薬品のうち内用薬・外用薬は1か月程度の備蓄に努めることや、地域の医療機関・薬局と取り扱う品目の情報を共有しておくことが望ましいとされています。

分譲と案内の記録

「保険調剤の理解のために」では、他の薬局への分譲は伝票・医療用医薬品の譲渡書または別紙様式4-1を使い、分譲後2年間保存することとされています。在庫のある薬局に患者を案内する場合は別紙様式4-2を使い、それを受け取った薬局も2年間保存します。分譲の実績は要件なので、分譲したときの書類を残す仕組みを先に作っておくことが大切です。

後発医薬品の割合の経過措置

令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1〜3の届出をしていた薬局は、令和9年5月31日までに限り、後発医薬品の割合85%以上の要件を満たすものとみなされます。改定前に後発医薬品調剤体制加算1(80%以上)だった薬局は、この期間のうちに85%を超える段取りが必要です。

3. 加算2〜5の体制の要件

加算2〜5では、加算1の要件に加えて次の体制が求められます(改定の概要と様式87の3の1より)。

分野主な要件
医薬品等の供給拠点医療用医薬品1,200品目の備蓄、薬局間での在庫の共有と融通、医療材料・衛生材料の供給、麻薬小売業者の免許、医薬品の情報提供の体制、調剤室16㎡以上(令和8年6月以降に開設・改築・増築する場合のみ)
開局時間外の対応一定時間以上の開局、休日・夜間の調剤と在宅業務に対応できる体制(輪番を含む)、初回に連絡先を文書で交付、薬局の外側に連絡先を掲示、行政機関や薬剤師会を通じた周知
在宅医療医療機関・訪問看護ステーションとの連携、保健医療・福祉サービス担当者との連携、在宅薬剤管理の実績24回以上、在宅の研修
医療安全PMDAメディナビへの登録、プレアボイド事例の把握・収集、副作用報告の手順書
かかりつけかかりつけ薬剤師による服薬管理指導(服薬管理指導料の注1)の届出
管理薬剤師薬局の勤務経験5年以上、週31時間以上勤務、その薬局に在籍1年以上
研修研修計画の作成と実施、学会発表などの推奨
服薬指導の場プライバシーへの配慮(パーテーション等で区切られた独立したカウンターなど)、椅子に座った状態での服薬指導
地域の取組要指導医薬品・一般用医薬品の基本的な48薬効群の備蓄と販売、健康相談、緊急避妊薬の備蓄と調剤・販売、敷地内禁煙、たばこ・喫煙器具を販売しない、セルフメディケーション関連機器を3つ以上設置、薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを提供しない

セルフメディケーション関連機器は、体重計・体温計・血圧測定器・体組成計・血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメータ)などから3つ以上です。

4. 実績9項目と区分ごとの基準

加算2〜5は、次の9項目の実績で区分が決まります。基準は関東信越厚生局の様式87の3の2の記載によります。

項目加算2・3(基本料1)加算4・5(基本料1以外)
(1) 時間外加算等および夜間・休日等加算40回400回
(2) 麻薬の調剤回数1回10回
(3) 調剤時残薬調整加算および薬学的有害事象等防止加算20回40回
(4) 服薬管理指導料1のイおよび2のイ(かかりつけ薬剤師)20回40回
(5) 外来服薬支援料11回12回
(6) 訪問薬剤管理指導料等(単一建物で1人の場合に限る)24回24回
(7) 服薬情報等提供料等30回60回
(8) 小児特定加算1回1回
(9) 研修認定を取得した保険薬剤師の多職種会議への出席1回5回

(1)〜(8)は処方箋受付1万回あたりの年間回数、(9)は薬局あたりの年間回数です。

区分満たす数
加算2(4)を含む3つ以上
加算39項目のうち7つ以上
加算4(4)と(6)を含む3つ以上
加算59項目のうち7つ以上

加算2と加算4は、かかりつけ薬剤師の実績(4)が必須です。令和8年度改定で「かかりつけ薬剤師指導料」は廃止され、服薬管理指導料1のイ・2のイに一本化されました。実績として数えるのは、この新しい点数の算定回数です。

5. 実績の換算のしかた

(1)〜(8)は、自局の実績の合計を処方箋受付1万回あたりに換算して基準と比べます。様式87の3の2では「各基準に①(直近1年間の処方箋受付回数)を乗じて1万で除して得た回数」と、自局の実績の合計を並べて記入します。

つまり、基準の回数 × 自局の受付回数 ÷ 10,000 が、自局で必要な回数です。

自局の直近1年の受付回数(4)かかりつけで加算2に必要な回数(基準20回)(6)在宅1人で必要な回数(基準24回)
8,000回(1万回未満)1万回とみなして20回1万回とみなして24回
20,000回40回48回
40,000回80回96回

直近1年間の受付回数が1万回未満の薬局は、1万回とみなして換算します。受付回数の少ない薬局でも、基準の回数そのものを満たす必要があるということです。

6. 判定の期間と届出

薬局の状態実績の判断期間適用期間
新規後発医薬品の割合は直近3か月、その他の項目は直近1年の実績~翌年5月末日まで
継続後発医薬品の割合は直近3か月、その他の項目は前年5月1日から当年4月末日までの1年の実績(毎年5月に判断)当年6月1日から翌年5月末日まで

届出の添付書類は、様式87の3の1(すべての区分に共通の体制)と様式87の3の2(加算2〜5の実績)です。様式87の3の2は、加算2〜5の区分を届け出るときに実績を記入する書類です。提出先は管轄の地方厚生(支)局で、「保険医療機関等電子申請・届出等システム」でもオンラインで提出できます。

毎年8月には定例報告があります。実績が基準を下回った場合は、区分の変更の届出が必要になります。

7. 上位区分を狙うときの手順

  1. 自局の直近1年の受付回数を出す。1万回未満なら1万回として扱います。
  2. 9項目の実績をレセコンで数える。算定回数の集計機能で、前年5月から当年4月までを出します。
  3. 必要な回数に換算する。基準の回数 × 受付回数 ÷ 10,000 で、項目ごとの必要な回数を出します。
  4. 不足の大きい項目から手を打つ。加算2・4では(4)かかりつけが必須、加算4では(6)在宅1人も必須です。
  5. 体制の要件を点検する。1,200品目の備蓄、麻薬小売業者の免許、管理薬剤師の在籍年数などは、実績と違って短期間では整いません。
  6. 届出の様式を下書きする。様式87の3の1・87の3の2を埋め、添付書類(研修計画、手順書の写しなど)をそろえます。

点検のチェックリスト

  • 後発医薬品の調剤割合が直近3か月で85%以上ある(経過措置の対象かも確認)
  • 他の薬局への分譲の実績があり、伝票や様式4-1を2年間保存している
  • 様式85(妥結率等に係る報告書)を提出している
  • 医療用医薬品を1,200品目備蓄している
  • 麻薬小売業者の免許がある
  • 管理薬剤師が薬局経験5年以上・週31時間以上・在籍1年以上
  • かかりつけ薬剤師の服薬管理指導の届出をしている
  • 初回の患者に時間外の連絡先を文書で渡し、薬局の外側にも掲示している
  • 48薬効群の一般用医薬品と緊急避妊薬を備えている
  • セルフメディケーション関連機器を3つ以上置いている
  • たばこ・喫煙器具を販売していない(併設の店舗販売業の店舗を含む)
  • 9項目の実績を受付1万回あたりに換算して基準と比べた

8. 落とし穴

  • 合計の点数で比べない。改定前に地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算を両方取っていた薬局は、改定後の点数だけを見ると上がったように見えても、合計では差が小さいことがあります。
  • かかりつけの実績の数え方を旧点数のままにする。かかりつけ薬剤師指導料は廃止されたので、服薬管理指導料1のイ・2のイで数えます。
  • 1万回未満のみなしを見落とす。受付回数が少ない薬局は、換算すると基準より少なくてよいと考えがちですが、1万回とみなすので基準の回数そのものが必要です。
  • 調剤室16㎡を既存の薬局にも当てはめる。この要件は令和8年6月以降に開設・改築・増築した薬局だけに適用されます。逆に、改築を予定している薬局は面積の確保が必要になります。
  • 経過措置の期限を忘れる。後発医薬品85%のみなしは令和9年5月31日までです。

9. まとめ

  • 地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算が統合され、地域支援・医薬品供給対応体制加算1〜5になりました。
  • 加算1(27点)の安定供給と後発医薬品85%の要件は、全区分に共通です。
  • 加算2(59点)・3(67点)は調剤基本料1の薬局、加算4(37点)・5(59点)はそれ以外の薬局が対象です。
  • 加算2・4は、かかりつけ薬剤師の実績を含む3つ以上(加算4は在宅1人の実績も必須)、加算3・5は9項目のうち7つ以上が必要です。
  • 実績は処方箋受付1万回あたりに換算し、受付が1万回未満なら1万回とみなします。

参考資料