結論から書きます。服薬情報等提供料は、調剤後も患者の服用薬の情報等を把握し、その内容を文書で医療機関等に提供した場合に算定する調剤報酬です。1〜3の違いは、情報提供の「きっかけ」と「提供先」にあります。1は医療機関からの求め(30点)、2は薬剤師が必要性を判断(各20点)、3は入院前の患者(50点)です。いずれも文書による提供が前提で、電話だけの報告や、疑義照会・薬学的評価を伴わない報告は対象になりません。
この記事は、告示「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 別紙1-3 調剤報酬点数表」(区分番号15の5)と、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版)にもとづいています。
1. 服薬情報等提供料1・2・3の点数と違い
| 区分 | 点数 | きっかけ | 提供先 | 算定回数 |
|---|---|---|---|---|
| 服薬情報等提供料1 | 30点 | 保険医療機関の求め | 保険医療機関 | 月1回 |
| 服薬情報等提供料2 イ | 20点 | 薬剤師がその必要性を認めた場合 | 保険医療機関 | 月1回 |
| 服薬情報等提供料2 ロ | 20点 | 薬剤師がその必要性を認めた場合 | 処方医(リフィル処方箋の調剤後) | 月1回 |
| 服薬情報等提供料2 ハ | 20点 | 薬剤師がその必要性を認めた場合 | 介護支援専門員 | 月1回 |
| 服薬情報等提供料3 | 50点 | 入院前の患者に係る保険医療機関の求め | 保険医療機関 | 3月に1回 |
3つの区分に共通しているのは、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、必要な情報を文書により提供等した場合に算定するという構造です。求めがあって動くのが1、薬剤師の判断で動くのが2、入院前の一元的な把握が3、という整理になります。
2. それぞれの算定要件
告示の注書きにもとづき、要件を区分ごとに整理します。
2-1. 服薬情報等提供料1(30点)
保険医療機関の求めがあった場合において、患者又はその家族等の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も当該患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に、月1回に限り算定します。医療機関側から情報提供を求められる場面が起点になります。
2-2. 服薬情報等提供料2(各20点)
保険薬剤師がその必要性を認めた場合において、患者又はその家族等の同意を得た上で、調剤後も服用薬の情報等について把握し、次のいずれかに文書で情報提供等した場合に、月1回に限り算定します。
- イ:保険医療機関に必要な情報を提供した場合
- ロ:リフィル処方箋による調剤後、処方医に必要な情報を提供した場合
- ハ:介護支援専門員に必要な情報を提供した場合
1と異なり、医療機関からの求めがなくても、薬剤師が必要性を判断すれば算定できるのが2の特徴です。介護支援専門員への提供(ハ)は、在宅や施設入居の患者で、ケアプランに服薬情報を反映してほしい場面などが想定されます。
2-3. 服薬情報等提供料3(50点)
入院前の患者に係る保険医療機関の求めがあった場合において、患者又はその家族等の同意を得た上で、当該患者の服用薬の情報等について一元的に把握し、必要に応じて患者が薬局に持参した服用薬の整理を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に、3月に1回に限り算定します。入院時の持参薬確認(いわゆる持参薬整理)に薬局が関わる場面を想定した区分です。
3. 算定できない場合
告示は、次の場合に服薬情報等提供料を算定できないと定めています。
- 特別調剤基本料Aを算定する薬局で、調剤基本料の注6に規定する保険医療機関への情報提供を行った場合(同一開設者の医療機関など、特定の関係にある医療機関向けの提供は対象外)
- 調剤基本料の注2に規定する保険薬局(特別調剤基本料Bを算定する薬局)
- 区分番号15の9に掲げる訪問薬剤管理医師同時指導料を算定した場合(ただし、医科点数表のC012-2「訪問診療薬剤師同時指導料」を算定していない保険医療機関に文書提供した場合は、この限りではありません)
また、調剤後薬剤管理指導料(糖尿病・慢性心不全患者向け)や、吸入薬指導加算、特定薬剤管理指導加算2を算定している場合は、同じ機会について服薬情報等提供料を重ねて算定できません。対象患者ごとの算定項目の使い分けは、フォローアップに関する義務や記録の残し方とあわせて確認してください。
4. 文書提供の実務
告示・通知は書式そのものを定めていません。ただし、次の点は要件の文言から読み取れます。
- 文書による提供が前提です。電話やメールだけの報告は、算定の対象になりません。
- 患者又はその家族等の同意を得た上で行います(1・2・3のいずれも)。
- 薬剤の使用が適切に行われるようにするという目的に沿った内容(服薬状況、残薬状況、副作用の有無など、処方医の判断に資する情報)であることが前提です。
実務では、報告した日付・提供先の医療機関や職種・内容の要点・返信の有無を薬局側でも記録しておくと、算定実績の確認や、専門医療機関連携薬局・地域連携薬局の認定に必要な実績の集計にも使えます。
5. かかりつけ・認定薬局制度との関係
服薬情報等提供料は、かかりつけ薬剤師でなくても算定できる独立した項目です。一方で、専門医療機関連携薬局の認定基準(がん患者への報告・連絡の実績)には、服薬情報等提供料を算定した場合の報告を含められるとされています。日々の情報提供の記録は、報酬の算定だけでなく、認定薬局の実績づくりにもつながります。
6. まとめ
- 服薬情報等提供料は、1(30点・医療機関の求め)、2(各20点・薬剤師の判断、提供先はイ医療機関/ロ処方医/ハ介護支援専門員)、3(50点・入院前の患者)の3区分です。
- いずれも文書による提供と、患者又はその家族等の同意が前提です。
- 特別調剤基本料Bを算定する薬局や、同一開設者の医療機関への提供など、算定できない場合があります。
- 服薬情報等提供料を算定した報告は、専門医療機関連携薬局の認定基準の実績にも含められます。
参考資料
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 別紙1-3 調剤報酬点数表」(区分番号15の5 服薬情報等提供料) https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655180.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年7月1日版) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001717704.pdf