結論から書きます。地域連携薬局は、薬機法第6条の2にもとづいて都道府県知事が認定する薬局で、1年ごとに更新を受けなければ効力を失います。基準は薬機法施行規則第10条の2に定められ、「座って相談できる区画」「医療機関への報告・連絡を月平均30回以上」「在宅の実績を月平均2回以上」「常勤薬剤師の半数以上が1年以上勤務」などが柱です。実績の基準は過去1年間で判断するので、申請を決めたら記録の仕組みを先に作ることが大切です。

この記事は、e-Gov法令検索の薬機法・薬機法施行規則の条文と、厚生労働省「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」の資料にもとづいています。


1. 制度の位置づけ

薬機法は、特定の機能を持つ薬局を都道府県知事が認定し、名称を表示できるようにしています。

認定根拠求められる機能更新
地域連携薬局薬機法第6条の2他の医療提供施設と連携し、地域で薬剤の適正使用と効率的な提供に必要な情報提供・指導を行う1年ごと
専門医療機関連携薬局薬機法第6条の3がんなどの傷病の区分ごとに、専門的な薬学的知見にもとづく指導を行う1年ごと

厚生労働省の検討会資料(令和7年5月19日)によれば、2025年3月末時点で地域連携薬局は4,208件、専門医療機関連携薬局は208件です。

認定を受けていない薬局が「地域連携薬局」やこれにまぎらわしい名称を用いることは禁止されています(薬機法第6条の2第3項)。

2. 認定の基準(施行規則第10条の2)

薬機法第6条の2第1項は、4つの分野の基準を厚生労働省令に委ねています。施行規則第10条の2の内容を分野ごとに整理します。

2-1. 構造設備(第1項)

基準内容
相談の区画利用者が座って情報提供・指導を受けられる、間仕切り等で区切られた相談窓口その他の区画と、相談の内容が漏えいしないよう配慮した設備
バリアフリー高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造

2-2. 他の医療提供施設との情報共有(第2項)

基準内容
会議への参加過去1年間、薬剤師を地域ケア会議など地域包括ケアシステムの構築に資する会議に継続的に参加させている
医療機関への報告・連絡の体制利用者の薬剤の使用に関する情報を、地域の医療機関の薬剤師その他の医療関係者に随時報告・連絡できる体制
医療機関への報告・連絡の実績過去1年間、薬剤師に医療機関の薬剤師その他の医療関係者へ月平均30回以上報告・連絡させた実績
他の薬局への報告・連絡の体制地域の他の薬局に報告・連絡できる体制

2-3. 安定的な薬剤の供給(第3項)

基準内容
時間外の相談開店時間外でも利用者からの相談に対応する体制
休日・夜間の調剤地域の他の薬局と連携して対応する体制
在庫の提供在庫の医薬品を必要な場合に地域の他の薬局に提供する体制
麻薬麻薬小売業者の免許を受け、麻薬の調剤の求めに自局の薬剤師が応じる体制
無菌製剤処理無菌製剤処理を実施できる体制(他の薬局の無菌調剤室を利用する体制を含む)
医療安全医療安全対策に係る事業への参加その他の医療安全対策
薬剤師の継続勤務常勤の薬剤師の半数以上が、その薬局に継続して1年以上常勤で勤務
研修の修了常勤の薬剤師の半数以上が、地域包括ケアシステムに関する研修を修了
研修の計画すべての薬剤師に、1年以内ごとに上記の研修またはこれに準ずる研修を計画的に受けさせている
情報提供過去1年間、地域の他の医療提供施設に医薬品の適正使用に関する情報を提供している

2-4. 居宅等での調剤・指導(第4項)

基準内容
在宅の実績過去1年間、居宅等での調剤と情報提供・指導を月平均2回以上。都道府県知事が別に定める場合は、その回数以上でよい
医療機器・衛生材料高度管理医療機器等の販売業の許可を受け、訪問診療を利用する人に必要な医療機器と衛生材料を提供できる体制

「過去1年間」の考え方

施行規則は「過去1年間」について、開設して1年に満たない薬局は、開設から認定の申請までの期間と定めています。新しい薬局でも申請はできますが、月平均の実績の基準はその期間で満たす必要があります。

3. 実績の要件を満たすための記録

実績の基準は、後から集めようとしても記録がなければ証明できません。

実績日々残す記録の例
医療機関への報告・連絡(月平均30回以上)服薬情報の提供、トレーシングレポート、入退院時の情報共有などを、日付・相手・内容の一覧で残す
在宅(月平均2回以上)居宅等での調剤・指導の日付と患者、医療保険・介護保険のどちらで算定したか
会議への参加地域ケア会議などの開催日・会議名・出席した薬剤師
他の医療提供施設への情報提供提供日・提供先・内容
研修研修名・修了した薬剤師・修了日と、年間の研修計画
常勤薬剤師の勤務常勤の薬剤師ごとの着任日と勤務形態

月平均30回は、1年間で360回に当たります。薬剤師1人ずつの件数ではなく薬局としての件数なので、誰が報告しても同じ一覧に記録が集まるようにしておくと、申請と更新の準備が楽になります。

4. 申請の流れ

  1. 自局の状況を基準に当てはめる。上の第2章の表を使い、体制の基準と実績の基準を1つずつ確かめます。
  2. 不足を埋める。相談の区画、麻薬小売業者の免許、高度管理医療機器等の販売業の許可など、準備に時間がかかるものから手を付けます。
  3. 都道府県の手引きを確かめる。申請書の様式(施行規則の様式第五の二)、添付書類、手数料、提出先は都道府県が案内しています。在宅の実績について知事が別の回数を定めているかも確かめます。
  4. 申請する。申請書には、申請者の氏名・住所(法人は代表者の氏名)、薬局の名称と所在地、基準に関する事項の概要などを記載します(薬機法第6条の2第2項)。
  5. 認定後の表示と更新の準備。認定は1年ごとの更新なので、認定を受けた日から実績の記録を続けます。

申請前のチェックリスト

  • 座って相談できる、間仕切りのある区画と、会話が漏れない設備がある
  • 高齢者・障害者が利用しやすい構造になっている
  • 地域ケア会議などに継続して参加している記録がある
  • 医療機関への報告・連絡が過去1年で月平均30回以上ある
  • 開店時間外の相談と、休日・夜間の調剤に他の薬局と連携して対応できる
  • 麻薬小売業者の免許を受けている
  • 無菌製剤処理ができる(他の薬局の無菌調剤室を使う体制を含む)
  • 常勤薬剤師の半数以上が1年以上継続して勤務している
  • 常勤薬剤師の半数以上が地域包括ケアシステムの研修を修了している
  • 全薬剤師の年間の研修計画がある
  • 在宅の実績が過去1年で月平均2回以上ある(知事が別に定める回数の有無も確認)
  • 高度管理医療機器等の販売業の許可を受けている

5. 見直しの議論(2026年9月時点で確かめたこと)

厚生労働省の「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」では、認定薬局の基準の見直しが議論されています。確かめられた範囲は次のとおりです。

  • 令和7年5月21日に公布された薬機法等の改正法(令和7年法律第37号)で、健康サポート薬局の届出制度は「健康増進支援薬局」という名称の都道府県知事による認定制度になり、公布後2年以内に施行される予定です。
  • 検討会の議論の整理では、地域連携薬局の在宅対応の基準について、月平均2回以上という既存の基準をさらに引き上げる方向の意見が示されています。一方で、地域の実情に合わせられる余地を残すべきだという意見もあります。
  • DX関連(オンライン資格確認、電子処方箋、オンライン服薬指導など)を基準の視点に入れる意見も出ています。

新しい基準の具体的な数値は、この記事の執筆時点で確かめた資料では決まっていません。更新の時期が近い薬局は、都道府県と厚生労働省の最新の通知を確かめてください。

6. 調剤報酬の施設基準と重なる点

地域連携薬局の認定は薬機法の制度で、調剤報酬の施設基準とは別のものです。ただし、準備する体制には重なる部分があります。

項目地域連携薬局(施行規則第10条の2)地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5
麻薬麻薬小売業者の免許麻薬小売業者の免許
医療機器・衛生材料高度管理医療機器等の販売業の許可医療材料・衛生材料を供給できる体制
在宅月平均2回以上在宅薬剤管理の実績24回以上(年)
時間外時間外の相談、休日・夜間の調剤の連携休日・夜間の調剤・在宅の体制と周知
薬剤師の定着常勤の半数以上が1年以上勤務管理薬剤師が在籍1年以上など

加算の要件は地域支援・医薬品供給対応体制加算の要件と実績の数え方で、薬剤師個人の要件はかかりつけ薬剤師の要件と算定で整理しています。

7. 落とし穴

  • 更新を忘れる。認定は1年で効力を失います。更新の時期から逆算して、実績の集計を始めてください。
  • 報告・連絡の件数を数えていない。月平均30回は、日々の記録がないと証明できません。
  • 常勤の定義を確かめない。「常勤の薬剤師の半数以上」の母数は常勤の薬剤師です。退職や異動で割合が下がることがあります。
  • 認定前に名称を使う。認定前に店頭やホームページで「地域連携薬局」と表示することはできません。

8. まとめ

  • 地域連携薬局は都道府県知事の認定で、1年ごとの更新が必要です(薬機法第6条の2)。
  • 基準は、構造設備、他の医療提供施設との情報共有、安定的な薬剤の供給、在宅の4分野です(施行規則第10条の2)。
  • 実績は、医療機関への報告・連絡が月平均30回以上、在宅が月平均2回以上です。
  • 常勤薬剤師の半数以上の1年以上の継続勤務と、研修の修了が必要です。
  • 在宅の基準の引き上げが議論されていますが、新しい数値はまだ決まっていません。

参考資料